「最近なんだか思ったような結果が出ないな。。。」
「計画通りに進めているのに成果がでない。」
「外部環境の変化が大きくてなかなか計画が組めない。」
こんにちは、こじのびです。
みなさんは、このような壁にぶつかってしまうことってありませんか?
何かを始めるためには「計画を立てて実行する」というシンプルなセオリーを学んでこられた方も多いかと思いますが、最近は、まずは「行動」というようなメッセージを発信されている著名な方もいらっしゃったりします。
どっちが正解なの?
と疑問に感じられる方も多いのではないかと思います。
一般的に「計画」と「実行」を行う手法としては「PDCAサイクル」が有名ですが、近年は市況や環境の変化のスピードも速く、「実行」の段階にはすでに「計画」自体が破綻しかけているような状況も起こるようになってきました。
そんな中、少し前から注目が集まりつつあるのが「OODAループ」という手法です。
この記事では、この「PDCAサイクル」と「OODAループ」それぞれの意味や違いを説明しつつ、「計画」が先なのか「行動」が先なのかという疑問を解決するヒントをご紹介します。
目次
PDCAサイクルとは?
こちらは比較的ご存知の皆さんも多い手法ですね。
その始まりはというと1950年代に遡ります。
当時のアメリカの統計学者であったウィリアム・エドワーズ・デミングという方が提唱された手法で、元々は製造業における生産管理や品質管理を目的としたものでしたが、その考え方は経営哲学としても発展し、現在は企業の規模や業種・職種に関係なく広範囲で活用されています。
基本的なアプローチとしては「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(対策)」の4段階を繰り返しながら「改善」を進めていきます。
じっくりと計画を練りながら着実に仕事を進めていくことができる点がメリットで、いかに高速でこのサイクルを繰り返すことができるかという点がポイントになります。
Plan(計画)
この段階ではまず目標を設定し、その目標を達成するための計画を立てます。
解決したい問題や課題を明確にし、目標と現状を比較することによってそのギャップを整理しそのギャップを埋めるために何をすべきかを考えます。
ここでのポイントは、できるだけシンプルで実現性の高い目標を設定するということです。
目標達成までの期限が決まっている場合は、タスクや行動などを整理してスケジュールに落とし込んでいきます。
そして、その実現に向けた行動やリソース、スケジュールなどについてしっかりと優先順位をつけることが重要になります。
Do(実行)
前の段階で立てられた計画を実行します。
この段階でポイントになるのは、以下の2点です。
・できるだけ計画通りに実行する
・活動内容をしっかりと残す
なぜこれらが重要になるのかというと、後工程での評価や分析の精度に大きく影響するからです。
計画通りに実施をした際にどのような点が成功し、どのような課題があったのか?
また、どのような状況の変化が発生していて、どのような対応が必要となるのか?
といったことをできるだけ客観的に記録しておくことが重要です。
Check(評価)
この段階では、計画と実行を検証します。
ここでポイントになるのは、以下の3点です。
・計画通りに実行できたか?
・どのような点が上手くいかなかったのか?
・どのような点が成功し、その要因は何だったのか?
正しく評価を行うためには、まずは計画そのものがキチンと遂行できたのかどうかを検証する必要があります。
そして、ついつい忘れられがちなのが、成功したり上手くいった点の要因把握と分析です。
良かった点と悪かった点を客観的に把握することによって、適切な改善の積み上げに繋げることができます。
Action(対策)
一連のサイクルの最終工程です。
この段階でのポイントは、以下の2点です。
・良かった点をしっかりと継続させる
・良くなかった点の根本解決につながる適切な対策を講じる
そして、忘れてはいけないポイントとしては、ここまでの結果を踏まえて見込みがないものに対しては計画そのものの修正はもちろんのこと、「中止」という選択肢も入れておくということです。
ちなみに、この「PDCAサイクル」はその名の通りサイクルですので、始まりも終わりもありません。
常にこの一連の動きを継続させることによって、より良い解決策を追求し続けることが大切です。
OODAループとは?
こちらはビジネスにおいては比較的目新しさがある手法ですが、PDCAサイクル同様、1950年代にアメリカ空軍の大佐であったジョン・ボイド氏によって提唱されました。
戦闘機の操縦士でもあり航空戦術家でもあったジョン・ボイド氏が提唱したこの手法は、今やアメリカ軍だけではなくて世界中の軍隊にも取り入れられているそうです。
この手法の特徴は「行動に移す速さ」で、戦況が常に変化する戦闘下においては当初の計画に従順に従うだけではリスクが高く、いかに素早く状況を判断して次の行動に移せるかという視点から生まれた手法だという点です。
基本的なアプローチとしては「Observe(観察)」「Orient(仮説構築)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の4段階で、ジョン・ボイド氏自らが各々のイニシャルをとって読み方を「ウーダ」と決めたそうです。
状況を見ながら未来を予測しそれに基づいて今後の行動を決定して実行する、という現場での意思決定に重きをおいた考え方で、急な変化に対応しやすいという点がポイントです。
Observe(観察)
この段階は単に「見る」という意味ではなく「情報の収集」を指します。
外部環境や市場の動向はもちろんのこと、自分の感情や置かれている状況・相手(競合)の行動やその背景などをできる限り的確に把握することが重要です。
Orient(仮説構築)
この段階は日本語に訳される際に「仮説構築」や「方向づけ」と表現されます。
OODAループにおいてはこの段階が最も重要なステップであるとも言われているのですが、前工程である「Observe(観察)」で収集した情報をもとに分析を行い、戦略の方向性を決めます。
この段階で決めた方向性とそれに応じた仮説を構築しますが、このステップでの方向性や仮説次第で最終的に行う行動が大きく変わります。
Decide(意思決定)
「Orient(仮説構築)」によるアウトプットに対して最終段階である「Act(実行)」に向けた意思決定を行うのがこの段階です。
なぜなら、前工程である「Orient(仮説構築)」では考えられる行動の選択肢が一つになるケースは少なく、複数の選択肢から何を選択するのかというプロセスが重要となるからです。
Act(実行)
これまでの過程で決定した行動を「Act(実行)」します。
この段階で重要なポイントは、実行をしながら状況の変化を確認することです。
不変の状況というものはあり得ないため、いかに素早く状況の変化を見極め、最初のステップである「Observe(観察)」に戻って対応のループを回すことができるかどうかという点が重要です。
PDCAサイクルとOODAループの違い
ここまでご紹介した2つの手法「PDCAサイクル」と「OODAループ」。
改めてお伝えしますと、以下のような特徴があります。
2.決められた工程の元でのコスト削減や効率化に有効
3.計画を起点として計画に従うことに集中する手順
2.明確な工程がない業務や可変性が高い環境下に有効
3.環境の変化を起点に状況に応じた現場の判断を尊重
どちらが正しいということではなくて、対応すべき課題や環境に応じて上手く使い分けることが重要です。
デメリットの把握
様々なビジネスシーンで効果を発揮する「PDCAサイクル」と「OODAループ」ですが、残念ながら各々のデメリットも存在します。
どちらの手法を採用する場合でも、各々のデメリットをキチンと把握した上で有効に活用してください。
PDCAサイクルのデメリット
「PDCAサイクル」は計画から実行後の改善までが明確な段階に分かれていて、指標としやすいというメリットがあります。
これに反して、実際の行動「Act(行動)」を起こすまでに3つのプロセスがあるという点がデメリットです。
「PDCA」サイクルを用いれば計画時に想定した通りに現場が行動することができ、決まった行動をすることによって一定の結果が繰り返されやすいような行動に対しては高い効果を得ることができます。
しかし、環境や意思決定が変わりやすい状況や対象に向けては具体的な行動にまで移すことが難しく、成果が生み出しにくくなります。
また、現場が計画通りの実行にだけ注力してしまいがちで計画やマニュアルに縛られてしまい、急な変化に対応ができないという点もデメリットであると言えます。
OODAループのデメリット
「OODAループ」は、環境の変化に柔軟に対応し行動に対する結果が出やすいというメリットがありますが、この結果は常に「良い意味」での結果ばかりということではありません。
そして、実際には現場が主導して「OODAループ」を導入することは難しく、この手法の導入にはトップマネジメントのリーダーシップが必須になります。
なぜなら「OODAループ」を行うためには、VSAMと呼ばれる世界観を関係者全員で共有する必要があるからです。
VSAMとは、「Vision(ビジョン)」「Strategy(戦略)」「Activity Direction(行動方針)」「Mental model and feeling(メンタルモデルと感情)」のことで、トップマネジメントによるVSAMの共有があってはじめて各々がリーダーシップを発揮できる自律分散型組織が成立し、「OODAループ」が機能します。
トップマネジメントのリーダーシップと、それをベースとしたリーダーシップを持った組織という高いハードルが要求されることが「OODAループ」のデメリットであると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
近年は、環境の変化も激しく市場の定義や軸のシフトチェンジも頻発しています。
そんな中で環境の変化に強いと言われている「OODAループ」に注目が集まる流れは必然といったところなのかも知れません。
しかし、この記事でご紹介しました「PDCAサイクル」や「OODAループ」はあくまでも適切な成果を残すための一つの手段だ、という点を忘れてはいけません。
対応すべき課題や環境に対して、各々の特徴やメリット・デメリットを把握した上で適切な手段を選択してくださいね。
この記事が皆さんの起業や転職に向けた新たな一歩を踏み出すお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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